日本人が陥りやすい英語の間違い【間接話法】
普段の会話の中で
「Aさんがこんなことを言っていたよ」というふうに
自分と聞き手以外の第三者の発言について話すことってありますよね。
この場合英語には、日本語と同じく誰かの発言をそっくりそのまま伝える直接話法と、自分の立場に置き換えて伝える間接話法という二通りの話し方があります。
(英語では直接話法のことをDirect speech、間接話法のことをReported speechやIndirect speechと言います)
日本語では使われない表現なので、英語を学ぶ日本人がつまづきやすいところ。
それぞれの違いとともに間接話法について詳しく解説していきましょう。
直接話法と間接話法の違い
直接話法とは
たとえば、あなたが誰かに
昨日トムに会ったよ。彼は「仕事が忙しいんだ」と言っていた。
という話をするとします。
これを英語にすると
I met Tom yesterday. He said “I’m busy with work.”
となります。
カンマの中のセリフはトムが言った言葉をそっくりそのまま聞き手に伝えていますね。
この、聞いた言葉を言い換えずにそのまま相手に伝える方法を直接話法(direct speech)と言います。
間接話法とは
同じ例文を間接話法で訳すとどうなるでしょうか。
I met Tom yesterday. He said that he was busy with work.
となります。
注目すべきは’忙しい’の主語がHeになっており、動詞が過去形になっているところです。
このように聞いた話を自分の立場から置き換えて話す方法を間接話法(Reported speech)と言います。
他にもいくつかの例文で見比べてみましょう。
直接話法と間接話法の比較
彼は「君を愛している」と私に言った。
直接話法:He told me “I love you.”
間接話法:He told me that he loved me.
スタッフは私に「どこに住んでいますか」と聞いてきました。
直接話法:The officer asked me “Where do you live?”
間接話法:The officer asked me that where I lived.
エマは「新しい車が欲しい」と言っていた。
直接話法:Emma said “I want to buy a new car.”
間接話法:Emma said that she wanted to buy a new car.
となります。
間接話法では基本的に過去形となる
最初に会話をしていたタイミングが時制の基準
過去にあった会話について話しているので、必ず時制は「〜はあの時こう言っていた」という過去形になります。
そして、その時に話されていた内容もひきずられるように過去形になります。
その旅行客はパスポートを持っていないと言った。
直接話法:The tourist said “I don’t have my passport.”
間接話法:The tourist said that he didn’t have his passport.
これを時制の一致と言います。
間接話法では動詞の過去形の知識が必要不可欠
- am/ is → was
- are → were
- do/ does → did
- have/ has → had
- will → would
- can → could
間接話法を使って話すには動詞の過去形の知識が必要不可欠となります。
特にこれらbe動詞・助動詞の過去形は会話の中で出てくる頻度が高いのでまず最初に覚えておきたいですね。
その他、一般動詞を過去形にするには語尾に”-ed”をつけます。(不規則変化する動詞もあります)
Thatは省略できる
間接話法で使われる関係代名詞の「That」は省略することができます。
He told me he loved me.
The officer asked me where I lived.
Emma said she wanted to go to Japan.
The tourist said he didn’t have his passport.
過去形にならないパターンもある
シチュエーションが変わらない
たとえば
Mike said that his new manager is really strict.
マイクは新しい上司がすごい厳しいと言っていた。
この場合、新しい上司は今でもマイクの上司で、厳しいことに変わりない場合過去形にはならない。
She said her husband plays golf every Sunday.
彼女は旦那が毎週日曜日ゴルフに行くと言った。
今現在も旦那が毎週日曜日にゴルフに行っているのであれば過去形にはならない。
My teacher taught us that Russia is the largest country in the world.
先生にロシアは世界最大の国だと教わった。
ロシアは現在も世界最大の国であるため過去形にはならない。
過去形を持たない
- must 〜しなければならない
- should 〜すべき
- ought to 〜するべきだ
- used to 以前は…だった、慣れている
これらの助動詞、形容詞は過去形を持たないため、間接話法でも過去形にはなりません。
My mom said I must finish homework before I play the game.
母親は私に宿題が終わるまではゲームをしてはいけないと言った。
My boyfriend told me he used to smoke.
私の彼はかつてタバコを吸っていたと言った。
未来の状態のまま
Amy told me that she wants to go to Paris next year.
エイミーは来年パリに行きたいと言っていた。
Mr. Sato called me that he will come to our office next month.
佐藤さんが私たちのオフィスに来月くると言っていた。
この来年・来月が、話をしている現在においても未来である(未来の状態が変わらない)場合、動詞は過去形にはならない。
さいごに
いかがでしたか?
日本語の感覚だと「誰が」とか「過去形かどうか」を気にしなくても話が通じますが、英語ではこの時制の一致が会話を進めていく上でとても重要になります。
ネイティブは小さい時から日常的に「正しい英語のシャワー」を浴びていますので、ちょっとした会話でも時制を間違うことはありません。
日本で生まれ育った私たちはこの感覚を持っていないため、最初のうちは「主語がHeになるから動詞はisで、過去形になるからwasで…」と考えながら話していくことになりますが、正しい表現を意識して使っているうちに自然と主語・動詞・時制が整うようになってきます。
間違った表現に違和感を感じるようになってくれば、こっちのもの。
繰り返し会話の中に取り入れることで感覚的にネイティブ表現を身につけていきましょう。